あらすじ
12年前、梅嶺の戦いで壊滅した赤焔軍の生き残りである林殊は、梅長蘇と名を変え、首都へと戻ってくる。
当時からまるで変ってしまった容貌に、林殊と気づく人はほぼいない。
林殊はなぜ名を変えねばならなかったのか、そうしてまでなぜ都へ戻ってきたのか?
激しい王座争いを繰り広げる第五皇子に肩入れしていると見せかけながら、王位争いでは圏外とされる靖王を密かに支え、さらに過去の因縁を探る壮大な計画が始まる。
登場人物・キャスト
梅長蘇/蘇哲/林殊 演:胡歌(フー・ゴー)
知りたいことを何でも教えてくれるという情報機関・琅琊閣において、貴公子の格付けである十大公子榜で1位とされている人物。江左盟という手練れの侠客一派を従え、知略なら天下に敵なし。
ただし病魔におかされており、冒頭からすでに死にかけている。
ある目的を果たすため、病を押して都に入り、政争に陰ながら身を投げる
飛流 演:呉磊(ウー・レイ)
梅長蘇の護衛を務める少年。若くとも腕前は達人級で、唯一勝てない蒙摯にライバル心を燃やす。
梅長蘇が大好きで、藺晨が嫌い。
「うん」「ううん」以外はほとんど言葉を話さないが、こちらの言うことは理解している。
穆霓凰 演:劉涛(リウ・タオ)
雲南王府の郡主(王女)。林殊の幼馴染で、かつて許嫁だった。愛の力で主人公の正体に早々と気づく。
武術に優れ、勇ましく頼りになる上に物わかりが良い大人の恋人。
蒙摯 演:陳龍(チェン・ロン)
禁軍の将軍。主人公絶対守るマンズの最強格。梅長蘇が自分から正体を明かした唯一の人物で、正体を知っている。
靖王と同じく、頭の回転の速すぎる主人公との会話についていけていない時がある。
どんな過酷な戦場でも傷一つ負わない異常なまでの強さを誇る。琅琊達人榜の2位
皇族関連
靖王 演:王凱(ワン・カイ)
まっすぐ前にしか進めない香車のような正義漢。
頑固で融通の利かない男だが、その気になれば弁舌をふるうこともできる。一番の親友だった林殊の死を深く悼み懐かしむが、梅長蘇の正体については全く気づかない。
梅長蘇のことを半ば怪しみながら、彼の知略を借りて王座を目指す
静嬪 演:劉敏涛(リウ・ミンタオ)
亡くなった辰妃に仕える医女だったが、嬪となった。現在は冷遇されている。
物静かで賢く分別がある。
皇帝・蕭選 演:丁勇岱(ディン・ヨンダイ)
梁の皇帝。疑り深く、少しでも歯向かう者は許さない
誉王 蕭景桓 演:黃維德(ビクター・ホァン)
皇后の養子で、第五皇子。弁が立ち、皇帝の歓心を買うのが上手い。麒麟才子と呼ばれる梅長蘇は自分の陣営だと思い込んでいるが、手際よく弱体化されてゆく。
皇后 言氏 演:方暁莉(ファン・シャオリー)
言闕の妹。子に恵まれず、誉王を養子とした。皇帝に愛されず、越氏を忌々しく思っている
皇太子 蕭景宣 演:高鑫(ガオ・シン)
越貴妃の息子。才覚は全くなく典型的ダメ男。
貴妃・越氏 演:楊雨婷(ヤン・ユーティン)
皇太子の母。皇帝の寵愛を受けており、皇太子の立太はそれによるところが大きい
紀王 演:寧文彤(ニン・ウェントン)
皇帝の弟。詩歌を愛する。争いを避けるために政治に興味のない凡庸な人物を装っている。
太皇太后 演:鄭毓芝(ジェン・ユージー)
幼少時の林殊を可愛がっていた。認知は衰えてきているが、人々に愛される柔和な人柄
莅陽長公主 演:張棪琰(チャン・ヤンヤン)
皇帝の妹で、謝玉の妻。謝玉とはおしどり夫婦とみられているが、卑劣なやり方で妻にされたことにわだかまりを持っている。
高湛 演:譚希和(タン・シーフー)
太監。皇帝の側近。愚鈍さを装っているが皇帝の一番の理解者
祁王 蕭景禹(故人) 演:季晨(ジー・チェン)
皇帝の長子。有能で人望もあったが、赤焔事案に関わったとされ死罪となった
宸妃/林楽瑶(故人)
皇帝の元妃で祁王の母。赤焔事案時に自害した
晋陽長公主(故人)
皇帝の妹、蒞陽長公主の姉、林燮の妻、林殊の母
庭生 演:張巨明(チャン・ジュミン)
重罪人が囚われる掖幽庭の奴婢。亡くなった祁王の息子であると推測した靖王と梅長蘇により救われる
江左盟
藺晨 演:靳東(ジン・ドン)
琅琊閣の閣主。腕利きの医者でもあり、普通の医者が知らない奇病にも詳しい
黎綱 演:王宏(ワン・ホン)
江左盟の配下で、梅長蘇の側近。武術の達人
甄平 演:趙一龍(チャオ・イーロン)
江左盟の配下。武術の達人
百里奇 演:李龍(リー・ロン)
屈強な肉体の持ち主。北燕の勇士を装って現れるが、実は江左盟の配下
十三先生 演:公方敏(ゴン・ファンミン)
江左盟の配下。妓楼・妙音坊を経営し情報収集につとめる
宮羽 演:周奇奇(チョウ・チーチー)
江左盟の配下。普段は妙音坊の妓女。
報われないと知りつつ梅長蘇を慕い、命をかけても役に立とうとする。
童路 演:魏偉(ウェイ・ウェイ)
江左盟の配下。野菜売りに扮して品物や情報を仕入れる
晏医師 演:鐘衛華(チョン・ウェイファ)
梅長蘇の主治医。無理ばかりする梅長蘇に始終文句を言う
その他
謝玉 演:劉奕君(リウ・イージュン)
寧国侯(将軍職)。妻は梁帝の妹・莅陽長公主で権力絶大。
表向きは王座争いに中立のように見せかけているが、実は皇太子派。景睿、謝弼の父
景睿 演:程皓楓(チェン・ハオフォン)
生まれたときの特殊事情により、寧国府と天泉山荘両家の息子として育てられた。家庭事情ややこしすぎな青年。
どちらの家も継がない代わりに両家から愛されている。
誠実で文武に優れた青年で、梅長蘇とも親しい。琅琊閣「十大公子榜」2位。
言闕 演:王勁松(ワン・ジンソン)
皇后の兄で、言豫津の父。
愛した女(宸妃・林楽瑶)を横取りした皇帝や赤焔軍事件に失望し、今は隠居を決め込んでいる
言豫津 演:郭曉然(グオ・シャオラン)
景睿の友。言闕の息子。父が不在がちなため寂しく思っている
秦般若 演:王鷗(ワン・オウ)
妓楼・紅袖招の主で、誉王府の謀士。普通の人よりは知恵が回るが、梅長蘇にはやられっぱなし
誉王に与しているのには理由がある
卓鼎風 演:劉昊明(リウ・ハオミン)
天泉山荘主。琅琊達人榜の4位に名を連ねる武術の達人
景睿のもう一人の父。
卓青遥 演:言傑(イェン・ジェ)
卓鼎風の息子。謝玉の娘を妻とする
謝弼 演:匡牧野(クァン・ムーイエ)
謝玉の息子で、景睿の弟。寧国府の跡継ぎ
穆青 演:張曉謙(ジャン・シャオチェン)
雲南王。霓凰の弟。明るく裏表のない性格
列戦英 演:張雨剣(ジャン・ユージェン)
靖王の部下
夏江 演:王永泉(ワン・ヨンチュアン)
皇帝直属の諜報機関である懸鏡司の首尊
夏春、夏秋
懸鏡司の掌鏡使。夏冬の兄弟子
夏冬 演:張齡心(チャン・リンシン)
懸鏡司の掌鏡使。穆霓凰の友人で、亡くなった夫は赤焔軍の将軍・聶鋒。武術の達人で姉御肌
衛崢
林殊の副将。数少ない赤焰軍の生き残り
聶鋒
林燮の配下で夏冬の夫。赤焰事変で亡くなったとされる
林燮(故人) 演:鄭勝利(ジェン・ションリー)
林殊の父。赤焰軍の将軍で、戦いの最中に林殊を逃がした
ネタバレなし感想
中国ドラマを見たことない人に、まず勧めることの多い作品。
中だるみすることのない知略の駆け引きで飽きることなく見られるし、多くを語らない主人公の過去が少しずつ明るみに出るたび、悲哀と義憤、感情の嵐に襲われる。
肝心な部分でちょっとご都合主義ファンタジーが含まれるけど、そこまで気にならない。中国ドラマを見過ぎて麻痺してるだけかもしれないが。だって当たり前に空を飛ぶし崖から落ちても死なないし、何だったら死んでも転生してきたりする作品ばかり触れてきたから……。
梅長蘇は不要な折衝を望まない、温厚な人柄ではあるけど、どうしても脳裏に堺○人がチラついて仕方がなかった……三倍返しだ!って声が脳裏に聞こえてた。例のドラマ見たことないからミリしらの印象でしかないけど。
そして謝玉が〇川照〇さんに見えてならなかった 笑
ちょっと雰囲気も似てるし。
めちゃめちゃ先の見える主人公なので、特に前半は面白いほど策略が成功する。世界はお前のものだよ。
後半、さすがに敵方も警戒して全力で潰そうとしてくるのと、主人公がとにかく登場時からすでに死にかけなので、体調不良もあって思うように進まない局面も出てくる。最初からタイムリミットがある程度見えているので、一瞬たりとも緊迫感が緩まない。
いうて、これくらいハンデがないと敵側がかわいそうになるほど無双なんだけど。
その間にも、「こいつは何者だ?」という周囲の疑いの目もあるし、あるいは正体を見抜く人もいる。過去についても徐々に明かされていくので、視聴者も登場人物と一緒に驚いたり悲しんだりすることになる。
体調のことも周りには隠しているけれど、徐々に命の長くないことが知れてきて、またどうしてこんなに若くして死に向かっているのかが分かってくると、いっそう悲劇性を帯びてくる。
ただし、からだの弱い主人公をがっちり守るオッサン集団に囲まれてるので、病気以外では死ぬ気がしない逆ハー姫君状態。
いや姫君でもこんな強固に守られてないわ。ピーチ姫でももっと奪還簡単だと思えるレベル。
王位争いや過去をめぐる計略が面白いのはもちろんだけど、登場人物も魅力的。
梅長蘇を絶対守るマンズの江左盟は当然いい人ばかりだし、脳筋ズの靖王と蒙摯はなんともいえない可愛さがある。霓凰は失った過去への憧憬の象徴のような存在で、聡明であり勇猛で美しい。
飛流はとにかくかわゆいしアクションがすごい。
そして私が一番好きなのは静嬪。梅長蘇を除けば作中で最も賢く気高く、影のキーパーソン。靖王がまっすぐな心根を保っているのも静嬪のおかげだと思う。いずれ梅長蘇がいなくなっても、この人がいる限り靖王は大丈夫。
無駄のないシナリオ、次々と繰り広げられる計略、少しずつ明かされる過去の謎、魅力的な人物たちと、おおむね非の打ち所がない。やや古いドラマだけど、いまだに高い人気を誇る理由が分かる。
二週目、三週目も変わらず楽しめる不朽の名作。
ネタバレ感想
靖王殿下がとても良い。まっすぐだけど融通が利かなくて、頭は悪くないのにちょっと鈍くて、それこそ牛さんみたいなイメージ。正体知ってからのパッション量を思うと、隠していたのは正解だったね。心の腐女子がざわつく程度の熱い想い感じた……奥さんや側室がほとんど登場しないからこそ、余計に。
靖王以外でも、現在過去含め周りの人にはちゃめちゃ心酔されているのがすごい。天性の人たらしだったのか。
だからこそ、多くの人の願い、ただ生きていてほしいという願いは叶わないのだけど、あの終わり方は悲しみの中にもどこか清々しさがあった。本来の自分のように武人として、戦の中で散る。家の中で、号泣する仲間に囲まれて死ぬよりは良かったのかもしれない。
かかる病がファンタジーなら、延命の薬もファンタジーだけど、そこはスルーしとこう。多少はファンタジーがあってもいい。リアリティを求めているわけではないのだし。
名利のために命をかけるというのは、日本人からするとそこまで馴染みのない感覚だなと思ったけど(復讐ならまだわかるが)、誇り高く生きるべき時代だったのだろう。
全てを知った状態で観る二週目も、また別の感慨や切なさが湧いてくる。
計略バトルドラマでもあるけど、敵がそこまで手ごたえないので、やはり人間ドラマだと思う。
シナリオは概ね評価してるけど、穴がないわけでなく、一番もやっとしているのは景睿のこと。どっちの父親ショーは第三のオトンが出てくる驚きの展開だったけど、ラストで南楚まで攻めてきたのはどうして……? そこは別の問題なのか?
それと聶鋒については病気や本人の反応含め全てがファンタジーすぎて、そんなことあるかい、のオンパレードだった。登場時は人の言葉も分からぬ様子だったのに、次第に普通に理解するようになり、病気の治療についても夏冬の説得をあっさり受け入れ、最後には出兵までしてる。
いやさすがにねー……力業すぎるでしょ色々。
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