蒼蘭訣 感想 / 力業すぎるハッピーエンド

4.0

あらすじ

かつて圧倒的な力を誇った月尊(月族の宗主)は仙界との戦いの果てに封じられたが、花妖精の小蘭花は偶然から彼と接触し、心身が入れ替わってしまう。
一応はその状態から脱したものの、その後も小蘭の感情や痛みを共有する羽目になった月尊・東方青蒼は、仕方なく彼女を守るようになる。初めは忌々しいばかりだった小蘭と行動を共にするうち、青蒼は少しずつ恋におちてゆく。

ネタバレなし感想

面白かった……カナー?

終盤でやっつけみたいな設定がガンガン出てきて力技ハッピーエンドにされて、どんな感情を持てばいいのかわからずにいる……。でも怒りとか不満ってほどではなく、一応許容範囲内に収まったかな。

3万年封印されていた魔王(月尊)を解放してしまった上に、感情や痛みを共有することになってしまった妖精(ただし妖精→月尊の一方通行で、月尊の感情や痛みを妖精が知ることはない)のドタバタラブストーリー。

なんだけど、例によって最終的には世界を救う話になっていく。

男主の青蒼は超俺様で、女主の小蘭は天真爛漫純粋無垢。女主が激鈍だし、そもそも最初は別の男が好きだし、男主も最初は女主を下に見ているのですぐには恋愛に発展しない。

でも女主が傷つくと自分も傷つくので、チート級に強い男主が渋々守ってくれるのがキュンポイント。ナチュラルに「俺の物」扱いしてくるし、無意識に嫉妬してくるし、そういうのが好きな人はたまらんのでは。

良かったのは、メインキャラたちの心の動き、恋に落ちる過程なんかを割と丁寧に描いてくれたこと。これがなかったら多分脱落してた。
元々俺様キャラが特に好きじゃないのと、女主の話し方は甘ったるい、女に嫌われる女っぽさがすごくて鼻についたけど、序盤は特にシナリオのテンポが良くてすんなり入れたと思う。青蒼の入れ替わりシーン上手くて笑う。

後半からは中国ドラマあるあるの「耐え」のフェーズになり、何やってもうまくいかないストレス展開だったし、エンディングは唐突感すごかったけど、最後まで駆け抜けられるくらいには面白かった。

シナリオは緻密からほど遠いけど疾走感はあるので、気楽に見るのに良さそうな作品。

ネタバレ感想

実のところ、個人的には優男の方が好きだから、二番手の長珩神君の方が正直好みだったけど、こやつが肝心なところで全くあてにならないので段々ガッカリ度が高まってしまった。
ほんまに戦神か……? 史上最弱レベルなのでは。男主に叶わないにしても、作中ほとんど良いところがなくて不憫。しかも、いざという時に一緒に戦ってくれる強キャラもいない! 深刻な人材不足!!

でも闇堕ちせず最後まで献身的に女主を守ろうとしてくれる姿勢は良かった……丹音と幸せになってほしい。というか丹音一途すぎて報われて欲しい。
ただ、こんな状況でなければ、長珩と小蘭の組み合わせも微笑ましい純愛カップルになったと思うで。一度記憶を奪われてからもまた好きになったってことは、多分タイプなんだよね。

女主は前半守られるだけの女だけど、恋愛関係になるあたりから、少しずつ芯の強さを見せるようになる。だから案外お似合いのカップルじゃないの、と応援していたが、愛と引き換えに力を失った魔王が、月界ほったらかしで女主を追っかけ続けた流れでは、仕事しろよとか思ってしまった。

男主は、他を寄せ付けない強さが魅力だったんだよな~。俺様キャラって、強さの裏打ちがないとちっとも素敵じゃない。
だから弱体化した終盤はちょっと気持ちが追いつかなかったけど、ラスボス戦で突然これまで聞いたこともない技を手に入れてて笑ってしまった。しかもその後出てこないけど、結局何だったの 笑
あと夜になると毎日のたうちまわるほどの苦痛に襲われる罰を受けたはずが、途中から夜に平然と話してるシーンあったけど、その辺どうなったんだ。

突っ込みどころは多すぎて全部挙げてたらきりがないけど、突っ込み疲れて色々麻痺しているうちにあれよあれよとミラクルが起きまくって、気づいたらハッピーエンドに到達していたぜ……。
中国ファンタジー史劇のあるある展開だから、慣れているとまあこんなもんよねというあきらめはつく。

サブキャラの恋愛は、メインキャラとは違った感じでとても良かった。黒龍くんは割と序盤からド天然且つ良いとこなしで、おい他に手下おらんのか月界も人材不足かよとか思っていたけど、仕事できなくても顔と性格が良いからこれからも青蒼の側にいてほしい(ていうか青蒼は何でもできるから側近必要ないやろ、実際のところ)。奥さんの尻に敷かれつつBIG LOVE貫いてくれ。

物語のテーマとしては、愛は世界を救う?
いがみ合う種族間の憎しみを止めようと女主が犠牲になる流れは途中から明白だったから驚きはしなかった。
何の力もないヒロインが唯一無二の力に目覚めて世界を救う流れ、今も昔も変わらず人気の少女小説(または少女漫画)の王道って感じ。

でも終盤の青蒼も小蘭も素直に応援したい感じが薄れつつあったので、失速エンディングの部類ではあった。

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