銀河のような愛/星漢燦爛・月升沧海 登場人物・感想 / 一回目より二回目の方が好きになるドラマ

5.0

あらすじ

生まれると同時に武将である両親が出兵してしまい、意地悪な祖母と叔母に疎まれて育った少商は、頑なでしたたかな娘に育つ。
十数年後にようやく両親が帰還。少商の奔放さ、計算高さに気づいた母は厳しくしつけようとするが、衝突ばかり。
幼くして戦禍に遭い、一族のほとんどを亡くしている凌不疑は、皇帝の義子として大切に育てられたが、実は一族の死に関する真実を突き止めようと暗躍していた。少商に一目惚れし、まっすぐな想いを向け守るが、少商は凌不疑には目もくれず別の男と婚約してしまう。

登場人物・キャスト

程少商(チェン・シャオシャン)/嫋嫋(ニャオニャオ) 演:チャオ・ルースー(趙露思)
主人公。生まれてすぐに両親が出軍してしまい、意地悪な祖母と叔母に育てられて粗暴・無学・ひねくれ者になってしまった。
やられたら倍返しするタイプ。工作が好きで建築に興味がある。恋愛偏差値が著しく低く、多くの男に想いを寄せられてもいまいち靡かない。

凌不疑(リン・ブーイー)/子晟(ズーション) 演:ウー・レイ(呉磊)
強くて寡黙な美青年。戦功も目覚ましい上に皇帝の養子であるため、都で大人気の将軍だが、女には目もくれない。
色々背負いすぎてて毎日が死亡フラグ。ただし驚異の生命力でしぶとく生き残る。
変わり者の少商に惚れて一途に守るが、彼自身の気性と生い立ちも実は相当特異であることが分かってくる。

萧元漪(シャオ・ユエンイー) 演:ズン・リー(孫儷)
少商の母。娘と似た頑固な性格。基本的に間違ったことは言ってないことが多いが、お互い一歩も引かないので相性が悪い。だが、目的を同じくした時の頼もしさも比類ない。
夫婦仲は良好、文武両道で、少商との関係を除けばほぼ完璧と言える母。

程始(チェン・シー) 演:グオ・タオ(郭濤)
少商の父。家族全員を愛し優しく接する。気の強い女性陣に押されがちだが、武人のためいざという時は頼りになる。

程老太太 演:シュー・ディー(許娣)
少商の祖母。幼い少商を無下に扱い、死に追いやりかけた張本人で、金にがめつい俗人だが、根っからの悪人というほどでもない。
基本的にろくな発言をしないが、どこか憎めない人。程止がお気に入り

程姎(ヤンヤン) 演:シュー・チャオ(徐嬌)
少商のいとこ。おとなしく勤勉で気立てが良い。両親の離縁をきっかけに、程始夫婦に預けられることに。
少商とも仲良しだが、元漪のお気に入りであることで微妙な立場になることも。

程止(チェン・ジー) 演:チャン・ティエンヤン(張天陽)
少商の叔父(程始の三弟)。文人で愛妻家。気が弱く土壇場にも弱いが善人。

桑舜華(サン・シュンホワ) 演:ポン・ヤン(彭楊)
程止の妻。高名な文人の娘で聡明。

程颂(チェン・ソン) 演:ジャン・イーミン(蔣熠銘)
少商の上の兄。少商を可愛がる。万萋萋とは幼馴染で気安い。

程少宮(チェン・シャオゴン) 演:チャオ・ズーチー(趙子麒)
少商の下の兄。少商を可愛がる。いつも怪しい占いをしているが、なぜか百発百中

程承(チェン・チェン) 演:ツイ・パン(崔鵬)
程始の次弟で、程姎の父。気の強い妻に虐げられていたが、離縁して学問を究める道へ。

蓮房(リャンファン) 演:ワン・ヤージャ(王雅佳)
少商の侍女

青蓯(チンツォン) 演:グー・クジャ(顧珂嘉)
元漪の義妹

皇帝 演:バオ・ジャンフェン(保劍鋒)
凌不疑激推し面白おじさん。幼くして一家のほとんどを戦乱で失った凌不疑を憐れみ、養父となった。怒りっぽいところもあるが、情に熱い。
乱世を制して王になったため苦労している。即位前から恋人だった妃にベタ惚れで、皇后もないがしろにはせず尊重している。
遠い地で起こってることをなぜかほぼリアルタイムで把握してる。

宣皇后 演:トン・レイ(童蕾)
慈愛のかたまり。キレ者タイプじゃないけど、分をわきまえていて深窓のお姫様っぽさがある。
凌不疑や少商を、我が子のように愛おしむ。
越妃とは互いに尊重しあっているが、複雑な感情を抱えてもいる。

越妃 演:ツァオ・シーウェン(曹曦文)
強さと賢さと良い人さを兼ね備えている稀有な妃。
皇帝とは幼馴染で気がおけない仲で、雑に扱うこともあるが互いに想いあっている。皇后のことも尊重しており良好な関係を築く。
政治的な清廉さを貫き、自分を利用しようとする親戚からも距離を置く。気が強く言いたいことはためらわず口にする

太子 演:ワン・ジュオチュン(汪卓成)
皇后の息子。心優しいが情に流されやすく、大局を見ることができないため、皇帝からは失望されがち

三皇子 演:ガオ・ハン(高寒)
越妃の息子。太子の次に跡継ぎに近い。賢く有能

五皇子
皇帝があやまって手を付けた側室の子。女好きで軽薄。自分の立場の低さから卑屈になっている

二公主 演:ジョウ・ヤンヤン(周楊洋)
越妃の娘。あまり絡みがないがいい人っぽい

三公主 演:ワン・ジェン(王禛)
越妃の娘。わがままで派手好き。凌不疑に気があり、少商に嫉妬する

五公主 演:ワン・ズーウェイ(王梓薇)
皇后の娘。勉強の師という名目で美男を集めており、実は愛人として囲っているともっぱらの噂。傲慢な性格で少商をいじめる

袁慎(ユエン・シェン) 演:リー・ユンルイ(李昀锐)
才知ある知識人として女性人気が高い公子。頭のまわる少商を気に入るが、なかなか素直になれないひねくれ者。
恋愛や女性にどこか不信感を抱いている

凌益(リン・イー) 演:シャ・バオリャン(沙寶亮)
凌不疑の父。凌不疑と妻が行方不明になった一年後に新しい正室を迎えた。凌不疑に憎まれている

淳于(チェン・ユー) 演:チャオ・ズーチー(趙子琪)
凌益の後妻。凌不疑には母と認められていない

霍君华(フォウ・ジュンファ) 演:チャン・トン(張彤)
凌不疑の母。戦争で凄惨な目に遭い、気が触れてしまった

汝陽(ルーヤン)王妃 演:ファン・シャオリー(方曉莉)
裕昌郡主の祖母。気位が高い。淳于と親しい

裕昌(ユーチャン)郡主 演:ツイ・ツーエイ(崔恩慈)
凌不疑に片思いしているが相手にされていない。少商に嫉妬する

万萋萋(ワン・チーチー) 演:ジャン・ユエ(張月)
少商の親友。父同士も義兄弟であり家族ぐるみの付き合い。
姉御肌で大胆な性格。いつもありったけの宝飾品を身に着けている

楼垚(ロウ・ヤオ) 演:ユー・チョンエン(余承恩)
名家の分家の子息。素直だが気弱で、婚約者の何昭君とはあまりうまくいっていない。大胆な少商に惹かれる

何昭君(ハー・ジャオジュン) 演:チェン・イーハン(陳意涵)
楼垚の婚約者。高慢で楼垚を振り回してばかりいる

楼犇(ロウ・ベン) 演:ワン・ズールイ(王子睿)
楼垚の兄。際立った才知の持ち主だが、分家筋のため本家に出世の道を絶たれている

王延姫(ワン・ヤンジー) 演:シー・シー(施诗)
楼犇の妻。優しく芯のある性格。楼犇とは仲睦まじい夫婦

楼縭(ロウ・リー) 演:タン・モンジア(湯夢佳)
楼本家の娘。楼犇や楼垚のいとこ。階級意識が強く、少商を見下す

王姈(ワン・リン) 演:フー・ジアシン(胡嘉欣)
少商を目の敵にして悪口三昧。たいてい楼縭と一緒にいる

駱済通(ルオ・ジートン) 演:ジャオ・ジン(趙菁)
五公主の勉強仲間。冷静で聡明な才女だが、凌不疑への叶わぬ想いに悩む。

ネタバレなし感想

破滅の星のもとに生まれた二人の恋物語。なんか色々と激しかった。
凌不疑は王宮で揉まれてるだけあって、よほどのことがなければむしろ寡黙で慎重な方なんだけど、中国ドラマ男主にありがちなヒロイン過激派なのと、いざという時の振りきれ方がすごい。手加減ということを知らない。
最後までみると、どちらも同じくらい激しい気性で、情も深くて、頑固で、相性良いとは思わないが釣り合ってはいると思った。こういう性格じゃないと多分お互いそばにいられなかった。

ただ、そもそもあまり好きな女優さんじゃないんだよなーー!!
個人的に可愛いとあまり思えないから、美人設定の役だと違和感がすごい。破天荒な烈女という性格設定は合ってると思うけど。
キャラ設定も独特なだけあって、最後まで好きと嫌いの間を行ったり来たりしてた。
事情があって親に育てられず、愛に飢え人を信じず、粗野に育ってしまった不運な少女という設定だけど、物語開始後でいうと、周りにかなりいい人が多い。というか、むしろ恵まれすぎ。

前半は自分の不運を嘆き、どうせ自分は愛されないんだ、と卑屈になったり腹を立てたりしてばかりだけど、実は家族は(ごく一部を除いて)可愛がってくれるし、親友もいるし最強の恋の応援団もいる。
なかなかうまくいかない母親との関係だって、どちらの気持ちもわかるんだよなあ……でもどちらも対応間違ってるんだよなあ……という絶妙な仕上がり。
とにかく強いオカン、味方になってくれた時の頼もしさ半端ないし(基本的に味方ではある)。
もちろん二人の愛の行方が主軸なんだけど、最後まで見るとむしろ家族がテーマなのだと分かる。愛を知らない二人が愛を知り家族になるまでを丹念に描いている。

ひねくれものの少商は騒動ばかり起こし、仕返しも大掛かりでえげつないので、正直やりすぎでドン引きな場面もいくつかあった。
責められるとそれを誰かのせいにしたり、自分の境遇を盾に卑屈になったりと、絶対に謝らない強情さもイライラさせられる。いや謝れよ、と何度突っ込んだか。
賢いのかお馬鹿なのかはっきりしないし。多分地頭は悪くない設定なんだろうけど、その割に要領が悪すぎたり、ちっとも成長しなかったりで、首をひねるシーンも多かった。
そんな破天荒を絵に描いたような人柄だけど、まんまと「おもしれー女」枠になって複数の男に思いを寄せられるの豪運を感じる。割と全員いい男だし。

そんな女主の生い立ち、成長や性格を丁寧に描いていくのが前半で、その間男主は復讐に生きているので、恋愛はびっくりするほど進まない。進まないが、中国史劇ヒロインらしく何度も命の危機に陥り、何度も男主が救う羽目になる。
何度も死にかける男主だけど、中国ドラマあるあるで奇跡の回復力を見せるので、もはや剣で刺されようが高いところから落ちようが、全く心配しなかった。Gと張れるレベルの生命力よ。

正直、このドラマを見る原動力は凌不疑の魅力だ。
突然の恋と執着には驚いたけど、愛し方は本当に素敵だった。想いが通じない時でも黙って少商を影から支え、ピンチの時には飛んでくる。アクションの得意な俳優さんならではの颯爽とした身のこなし。
そして端正にして雄々しいお顔! あの琅琊榜で超かわいかった子がこんな美男になって!!
こんな爆イケなことある? って何度も思ったわ。ハマリ役すぎる。
ラブシーンは苦手なのかぎこちなかったけど、それ以外の演技力やアクションや目力や(笑)、色んなところでときめきが止まらん。この人が登場すれば絶対大丈夫、何が何でも守ってくれるし、自身も絶対死なないという信頼感がある。
不愛想で女にも冷たいのに、少商には弱くて、だいたいお願いを聞いてしまうし、喧嘩しても自ら許しを請うてくる。嫉妬しても意地悪とかしてこない。ずっとずっと優しい。
中国ドラマの好きな男主TOP3には入るくらいに好きなキャラ。(誰にも聞かれてないけど一番は帝君)

肝心の恋愛部分は、幸せな甘々期間があまりに短過ぎて、振り返ってみると甘さ控えめかも。すぐ事件が起こり命が危うくなり喧嘩するし。
でも凌不疑はとにかく少商のことが最初から最後まで好きすぎるのがはっきり分かるので、一途な愛は感じられる。
この男主、ヤンデレの素質ありそうだから闇落ちしないことを祈るしかないが、二人ともコナンばりに行く先々で流血事件が起きるから、嵐を呼びすぎて疫病神レベル。
二人の通ったあとにはぺんぺん草も生えねえから、田舎でおとなしくしててほしい(しない)。

復讐、家族愛、女の生き方など、色んなテーマを組み込みつつもコメディっぽい部分もあって、見やすい部類だったと思う。
とにかく男主の幸せ祈りまくってるトップオタみたいな皇帝、面白すぎ。そして皇帝の女の趣味良すぎて、大抵は蟲毒みたいに描かれる後宮が奇跡的なまでに平和だった。皇后も妃もいい人すぎんか。
特に皇后と出会えたことは、少商の人生最大の幸運だったのかもしれない。皇后と少商の絡み、好きだったな。二人とも子供のように無邪気で、楽しそうで。

やることなすこと極端な二人の話だから中だるみする間もないし、全ての謎が解けた二週目の方がより楽しめる作品。
初見では結構驚かされた少商の性格にも慣れるし 笑
微妙な伏線にこういうことだったのか、と納得しつつ、凌不疑をより幸せにしたくなるので、2回見ることをお勧め。

ネタバレ感想

かなり特殊なカップルだけど、根底にあるテーマ……心に孤独を住まわせる二人が愛を探す過程が魅力的だった。二人とも完璧には程遠くて、気が遠くなるほど何度も何度も間違えながら、幸せを求めてもがいていく。
後半に大きな秘密が明かされるのはなかなか面白かったし、二人の関係が徹底的にこじれてしまったのも理解はできる。意固地だな~~とも思ったけど、それでこそこの二人、という気もする。
すっごく不器用で、頑固で、愛に飢えてて、似た者同士だ。本当の意味でお互いを理解し許すために、必要な時間だったのだろう。

前半の45話くらいまでが男主の魅力全開、そして後半10話くらいで女主を少しずつ好きになる。
前半で少商が自分は不運だとばかり嘆くけど、後半で凌不疑の半端ない不運と苦労が明かされると、むしろ少商の恵まれた境遇が際立つところも構成として面白かった。

メインカップルが強烈すぎるせいで、周りの人がやたらと常識のある温厚な人間に思えてくるけど、実際良い人や憎めない人が多かった。
特に好きだったのが皇后と越妃。めっっっちゃくちゃ良い人。皇帝幸せ者すぎる。
その反動なのか、どうしようもない公主が何人かいるけど、皇帝、皇后、妃が全員信頼できるおかげで、どうせ大したことにはならないだろうな、という茶番感があった。後宮モノでお決まりの、冤罪で拷問を受けるとか、ガセネタや誤解の嵐で恋が引き裂かれるみたいな展開がほとんどない。いじめはあるけど、全然負けてないし。
あの中でも絶えず揉め事を起こすの、相手のせいとばかりもさすがに言えないと思う。少商が生意気で喧嘩っ早いのは事実なのだし。
そんな少商を癒し、愛で包んでくれた皇后が最後まで不幸せだったのは悲しかった。誰が悪いわけでもないのに、素晴らしい人柄なのに、愛に恵まれない。それがまた、少商の幸運ぶりを際立たせていたようにも思う。

皇太子問題もなあ……太子はマジ良い人で、ガチ無能だったから仕方ないけど、皇后も太子も王族でなければ割と幸せになれたはずだから、切なかった。
それに、本質的には悪ではないのに、起こってしまった悲劇を恨んで闇落ちする人間が多かったようにも思う。終盤の敵もそういう感じだったけど、いまいち盛り上がらない上にやるせなくなるから、もっと根っからの悪役でいてほしかったまである。
でも人間ってままならないものだよね。

一つ納得がいっていないのは、オカン問題。
確かにオカンの対応が間違っていた部分もあるけど、それ以上に少商に非があった部分が多いのに、どうしてオカンがあんな下手に出て許しを請わなあかんねん。
少商も誠心誠意謝らんかいと思った。最後までこの人、自分が悪かったとは思わないんだよな。すごく中華ヒロインぽいけど。

オカンといえば、ここぞというシーンでなぜかいちいち家族総出で助けに来るの、どうしても笑ってしまった。ヤンヤン馬に乗れたんか!? とか、オカン体調悪かったはずでは? とか、そもそもタイミング良すぎだが情報経路どうなっとるん? とか、突っ込んだら負け。
最終話付近で突然お片付け(脇役が唐突に結婚しまくる)が始まっても気にしてはいけない。
ヤンヤンの恋が実らなかったのは残念だけど、ベタ惚れの旦那様っぽいからうまくやれそうな気もする。ついでに侍女まで結婚しててびっくり。大人の事情でまとめて結婚したことにしたんだろうけど、それで良かったのかい…。

最終話はめでたし、めでたしで終わったけど、どうせこの二人だからすぐに事件が起きて、生きるか死ぬかの瀬戸際になるんだろうなという確信がある。平穏な日々を過ごしたいとか言ってるけど、嘘やろ。今さら平穏な日々なんて三日で飽きそう。
どんな苦境でもしぶとい生命力で生き延びる二人だけど、凌不疑は最終回後は早世しそう感がある。少商と一緒にいたら、命なんていくつあっても足りん。せめて子孫は残せるといいね、という気持ち。

二人とも初恋だから、ドラマ中の愛情表現は割と初々しい感じだったけど、たぶん結婚後は色々と盛り上がりそうなカップル。そこんとこチラッと見たかったけどね! 大団円エンドでちょっと物足りなかった。

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