あらすじ
戦いの中、崖から落ちて死んだはずの魏無羨は16年後に呪術で蘇る。
快活で自由奔放な魏無羨はなぜ戦い、死ぬことになったのか?
対照的に無口で厳格な友、藍忘機と再会し、遭遇した怪異の謎を追ううちに、16年前の事件の真相にたどりつくこととなる。
登場人物
魏無羨/魏嬰/夷陵老祖 演:シャオジャン(肖戦)
幼い頃に両親を亡くし、江氏の一番弟子として息子同然に育てられた。
天性の仙術の才能があり頭も回るが、天衣無縫ゆえに反感を買うことも多い。
やんちゃで破天荒だが情に厚く、正義漢でもある。藍湛に付きまとい続けて生涯の友の座を勝ち取る。
藍忘機/藍湛/含光君 演:ワン・イーボ(王一博)
藍氏家主の第二公子。規則第一の堅物で融通も利かないが、仙術も容姿も秀でた清廉潔白の君。
やたらと絡んでくる魏嬰を疎ましく思っていたが、その奥にある信念を知り、共に難局を乗り越えるうちに友になる。
一度彼を失った経験から、再会後は絶対守るマンと化す。
藍曦臣/藍渙/沢蕪君 演:リウ・ハイクァン(劉海寛)
藍氏家主の第二公子。人格、能力共に非の打ちどころのない君子。
藍湛の頑なさもあたたかく見守っている。
江澄 演:ワン・ジャオチョン(汪卓成)
江氏長男だが、大体のことにおいて魏嬰の方が上回っているので忸怩たる思いを抱えている。
魏嬰との仲は悪くないが、負けず嫌いで短気なため一人で怒っていることも多い。
成り行きで損することの多い不運な性質。
江厭離 演:シュエン・ルー(宣璐)
江澄の姉。心優しく、魏嬰と江澄の心の支え。
金子軒と婚約している。プライドの高い彼とは合わないように見えたが……
温寧 演:ユー・ビン(于斌)
温情の弟。おとなしく引っ込み思案な青年だが、魏嬰の明るさ、優しさにひかれて友になる。
16年後は鬼将軍と呼ばれて恐れられているが、中身は素朴で天然なまま。
温情 演:モン・ズーイー(孟子義)
温氏随一の名医。弟の温寧を大切にしている。
一見そっけなく見えるが、情があり誠実。
幼い頃に一族がある事件に巻き込まれて死亡したため、温若寒に引き取られた恩義がある。
温晁 演:ハー・ポン(賀鵬)
温氏の第二公子。冷酷で残忍、女好きな分かりやすいクズ。
金光瑶 演:チュウ・ザンジン(朱賛錦)
金氏宗主の婚外子だが認知されず、聶明玦に仕えている。
見た目はにこやかで腰が低いが、蔑まれることが多いため鬱屈を抱えている。
掛け値なしの優しさを見せてくれた藍渙を敬愛している。
金子軒 演:ツァオ・ユーチェン(曹煜辰)
金氏直系の公子。プライドが高く感じが悪いが、意外と正義感も強い。
金凌 演:チー・ペイシン(漆培鑫)
金子軒と江厭離の息子で、江澄に育てられた。
金子軒のようにプライドが高く、江澄のように負けず嫌いだが、根は素直な性格。
藍思追 演:ジェン・ファンシン(鄭繁星)
藍湛に育てられた。本当の親のことは覚えていない。素直で賢く有能。
藍景儀 演:グオ・チョン(郭丞)
藍思追と仲が良くいつもコンビでいる。
聶明玦 演:ワン・イージョウ(王翌舟)
聶家宗主。一本気で正義感が強いが少々短気。
聶懐桑 演:ジー・リー(紀李)
聶明玦の弟。風流人で争いを好まない性格。
いつも人の影に隠れているタイプだが、ひそかに頭は良い。
暁星塵/道長 演:ソン・ジーヤン(宋継揚)
二人組の仙人の白い方。仙門とは距離を置いており、旅をしながら独自の道を歩んでいる。
清廉で優しく芯のある性格。
宋嵐/子琛 演:リー・ボーウェン(李泊文)
二人組の仙人の黒い方。暁星塵と行動を共にしている唯一無二の友。
薛洋 演:ワン・ハオシュエン(王皓軒)
邪悪な性格で、平気で人を陥れる。怨みは晴らさずにいられない。
陰鉄の持つ力を求め、ろくでもないことに使おうとしている。
阿箐 演:チェン・ジュオシュエン(陳卓璇)
盲目を装い乞食をしていた孤児の少女。暁星塵に出会い行動を共にするようになる。
江楓眠 演・ルー・ジェンミン(陸剣民)
江家宗主で、江澄と江厭離の父。
魏嬰のことも実子同然に育てる懐の広さがあるが、気の強い妻にはたじたじなことも。
虞紫鳶/虞夫人/三娘 演:チャン・ジントン(張浄桐)
江楓眠の妻で、江澄と江厭離の母。我が子と同等に育てられ、我が子以上に才覚のある魏嬰のことが面白くない。
気が強くプライドも高い高慢美女。
藍啓仁 演:ホワン・ジートン(黄子騰)
藍渙と藍湛の叔父であり、育ての親。
規律大事で厳格な性格。奔放で規律どころじゃない魏無羨に手を焼く。
蔵色散人
魏嬰の母。故人。
抱山散人
蔵色散人と暁星塵の師。今は隠居している。
ネタバレなし感想
序盤がめちゃめちゃ入り込みづらいので何度か挫折したけど、慣れるとすごくのめりこんでしまう魔力のある作品。
1-2話が再会編、3-33話が過去編、34話以降が現在編と変則的な構成で、特に過去編が結構な地獄展開。34話以降は、暗い展開もあるがメインキャラの揺るがぬ強さが頼もしく、割と安心して見られるようになる。
全体的に暗かったりグロかったり人多すぎだったりで、脱落する人がいるのも理解はできる。面白く感じ始めるまでが長いんだよな。
とりあえず7話くらいまで見れば、好きになるかどうか分かるんじゃないかなあ……多分だけど。
見終わると、もう一度初めから見たくなる。状況が混み入りすぎて序盤はよく分からず見てるから、分かった状態で見直したい、というのもあるし、ちりばめられた伏線を確認したい欲もある。
でもそれ以上に、この正反対な二人が少しずつ絆を深めていく過程がすごく良かった。顔のいい二人だから、どのシーンも映えるし見ごたえあるし。
原作は成人指定展開もあるBLだけど、ドラマ版では直接的な描写はなくとも二人の深い絆は見える作りでとても良かった。多くの人に観てもらうにはこれで良かったなとも思う。原作も一部読んだけど、魏嬰はドラマ版の方が落ち着いていて儚げなところがある気がする。守ってあげたい度がUP。
原作ではまじでクソガキっぽさ強めだから、ドラマの後に読むとちょっと違和感があった。
とにかく、魏嬰の開け放しの笑顔に心打ちぬかれた。笑顔が魅力的ワールドアワーとかあったら間違いなく優勝してる。カチコチ男藍湛のハートを融かした実績のある笑顔に、常人が耐えられるわけなかった。一瞬で陥落。
どんな苦境に陥れられても、どんなに大切なものを奪われ、蹂躙されても、最後まで純粋さを失わない輝きがあった。それを演じた俳優さんがあまりにもはまり役。肖戦じゃなかったら、こんなに惹きつけられなかったかもしれない。
地獄展開の時は、誰かどうにかしてあの笑顔を取り戻してくれと願っていたし、他の誰も絶対的な味方じゃない中、唯一安心してそばにいられる藍湛の存在が本当に嬉しかった。再会後は藍湛と温寧が鉄壁ガードすぎて、魏嬰が完全に姫ポジションなの笑ってしまった。本人も一応強いんだけどなー。藍湛の、決して傷つけさせないという決意と愛が重い。
主役二人を除けば、一番好きなのは温寧。かわいい。とにかく可愛すぎて、登場シーンほとんどでキュンキュンしていた。心がムツゴロウさんになってしまう。俳優さんが天才。
それから兄好きとしては当然のごとく曦臣兄上が好き。あんな優しくて頼れる兄がいるなんて、最高じゃん。弟と違って柔軟な性格だけど、この二人は根っこの部分が似ている。信念が強くて情が深い。
江澄はほんと、最後まで不器用すぎてもどかしかった。オカンとそっくりやな。短気なだけで悪い人じゃないのに、こんなにやることなすこと裏目に出るというか報われない人いる……? とにかくずっと不憫。なんだけど、わがまま令嬢こと金凌とのプンプンコンビは好きかもしれない。変なところが似ちゃってまあ……。
ストーリーはというと、生きてるのか死んでるのか分からんファンタジーだった。結局どのタイミングで死んだのかよく分からないキャラがいる。肉体の死と、霊識(魂?)の死は別っぽいけど、あんまり説明もなくてよく分からず。傀儡も生きてるのか死んでるのか分かりづらい。針で操られてる場合もあるし(針で操るってどういうことなのかも分からんけど)。
という調子で理解しきれないことは結構多かったけど、あまり気にし過ぎない方が良いと思う。
人物多すぎ、人間関係ややこし過ぎ、過去の因縁多すぎなドラマなので、覚えるべきことが多すぎて、なんか細かいことは気にしないようになる。
というとまるで穴だらけストーリーみたいだけど、低予算恋愛ドラマにありがちな破綻はなく、割としっかり伏線回収や謎の解明をしてくれるので、それなりに見ごたえあり。
世界観というか美術も頑張ってるなと思うし。
このドラマの魅力は何といってもキャラクター。覚えるのが大変な登場人物たちだが、割としっかり生い立ちや背景が設定されているので愛着が湧いてくる。
初登場時はすんごく嫌なやつだったけど、話が進んでみると複雑な境遇だったり、実は良いところもあったりして、ちょっと許した……みたいなことが何度あったことか。
勧善懲悪展開がはっきりしている中国ドラマの中では珍しく、清濁併せ吞むタイプの主人公だし、サブキャラも一筋縄ではいかない人ばかり。
でも人間はそこがいいのだし、人物像に深みが出て良かったと思う。
総括。ブロマンスや友情物が好きな方は間違いなく好きになるし、そうじゃない方もお話として楽しめると思う。基本的には、「どうしてこうなってしまったのか」を知る謎解きの話でもあるから、終盤では色んな伏線を回収してくれるので気持ちよい。家族愛など、群像劇としての見方もできるし。
そして見終った後にはメイキングや特番を見ると新たな沼に誘われる二段構え。私はそれで中の人に転げ落ちた。非公式も含めると、信じられないほど関連映像の量が膨大だし、そこから見えてくる人間性、関係性というか、情報量がすさまじいので、何だかんだでドラマ2本見てしまった気分にさせられる。
とにかく、キャストが良かった。私は本来なら魏嬰よりも藍湛の方が圧倒的に好みなんだけど、肖戦の笑顔があまりに可愛くてニヤニヤ止まらんかったし、魏嬰が笑うたびに幸せな気持ちになってた。
キャストインタビューで、藍湛役の王一博が「魏嬰の代表的な仕草」を聞かれて、「笛を回す……いや、笑顔」って答える気持ちが分かり過ぎるほど分かる。肖戦、王一博よりも6つも年上(撮影時26歳くらい?)なのに、あの可愛さはすごすぎる。感謝しかない。
皆も早く肖戦の笑顔を見て幸せになると良いと思う(宗教か)。
アニメもさらっと見たけど、かなり端折られていて分かりづらいので、ドラマ版か原作を先に観ておくことを推奨。
ネタバレ感想
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金光瑶、目がギラギラしすぎて初登場時から怪しすぎて、黒幕なのはあまり驚かなかったけど、なんかどうしようもない人生過ぎて哀れだった。
まっとうに生きるチャンスはちゃんとあったはずなのにな。自分から捨ててしまった。
前半の悪役温氏は分かりやすいクズだったから逆に良かった。ただ倒すだけで良い敵なら、こんなに遺恨が残ることはなかったのに。曦臣兄上を傷つけた罪は重い。
嫌な奴は結構多かったんだけど、第一印象が悪くて途中から好きになったキャラも結構いた。金子軒とか。
金子軒と師姐の恋はもっと詳しく過程を知りたかった! 傲慢な男が恋に落ちてふにゃふにゃになるところ見たいじゃん。尺が足りなかったのかな。悲しい。師姐側の気持ちはいまいちよく分からないままだった。
江澄母もキツすぎて登場時はしんどかったけど、悪女とやりあうシーンは良すぎた。毒をもって毒を制すみたいな話。振り返ってみれば、彼女が一方的に悪いのではなく、江澄父がまともに話し合いしてこなかったのが悪いのでは? という気もする。
愛のない人じゃないもんね。むしろ愛が深い人。
宋嵐と暁星塵は主人公と同じように白と黒の装束で、唯一無二の友で、意図的に主人公ズに重ねているのかなと思った。相手のために惜しげなく己を捧げることのできる二人。彼らの悲しい結末を見ると、魏嬰と藍湛はまだ幸運だったのだ、とも思う。とにかく二人でいる未来をつかんだのだから。
暁星塵、美しかったな、人として。徹底的に邪悪な薛洋に残された微かな人間性が、最後に垣間見えるのが何とも苦い。
基本的にこの世界はほころび陰惨な方向に向かうばかりだったと思うけど、魏嬰がその悪い流れを断ち切ったのは本当に奇跡だったなと思う。
まあ人工的な奇跡なんだけど。
懐桑、今回は結果的に味方だったけど、その思慮を別の方向に向ける時がきたらヤバイ相手になりそうだ。
闇落ちしないでほしい。
ところで結局陰虎符って何だったんや……なんかとてつもなく力があるサムシングだとしか分からなかった。それがあると何ができるんや。どうやって使うんや。
魏嬰が習得した術の性質もよく分からなかった。霊力がほとんどなくなったから仕方なく習得したってことだけど、笛さえ吹けば誰でも習得できるんか? 音律に霊力を流し込んで力に変えてるんと違うんか? 呪符や陣には霊力いらないんか???
ここぞというところでなぜか追ってこない追っ手とか、使えないはずの剣を使っているシーンとか、疑問符の残るシーンは細々とあり。莫玄羽の体になっても、金丹はないままなんか? というか、莫玄羽には元々なかった? 剣使えないといいつつ、使ってるシーンあったような気がするけど?
すでに2周してるけど、もう1周じっくり見れば理解できるのかな?
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