あらすじ
9つの川(国)から成る九川には、もっとも力の強い「新川」の少主(王子)の妻を他の8川から選ぶ風習があった。花嫁選抜のために集められた候補たちは、豊かな生活を夢見て前向きな者もいれば、嫌々やってくる者まで様々。
落選狙いでわざと行儀悪く見せていた霽川の候補・李薇は、思いがけず六少主の花嫁に選ばれてしまい驚く。六少主は病弱で目立たぬ存在だったが、実は才知に長け野心もある青年だった。
とある理由から李薇を選んだ六少主は次第に李薇に惹かれてゆくが、政略結婚から始まった二人の間に果たして愛は育まれるのか?
登場人物
李微(リー・ウェイ) 演:田曦薇(ティエン・シーウェイ)
農業の盛んな霽川から来た花嫁候補。花嫁に選ばれたくないあまり、奇行を見せつけわざと印象を悪くさせていた。六少主・伊峥と最悪の出会いを果たすが、なぜか側室に選ばれてしまう。
食いしん坊で楽天的。男に頼らず自分の力で生きたいと願っている
伊峥(インジョン) 演:白敬亭(バイ・ジンティン)
新川の六少主。病弱で影が薄いが、実は有能でしたたか。
自力で野望を叶えたいがあまり、あえて力のない霽川から花嫁を選ぶ。初めは興味のなかった李微の明るさ、バイタリティに惹かれはじめてからは、優しく見守る頼もしい夫となる
元英 演:劉令姿
伊峥の正妻として嫁いでくる金川の郡主(王女)。伊峥と肩を並べるほどに賢く有能だが、女性に実権が与えられないことを不満に思っていた。
伊峥とはそれぞれの目的のため協力関係にある
上官婧 演:范帥琦
女性が統治し、女性優位の丹川の郡主(王女)。武芸に優れ、気が強い。男尊女卑の新川とは水が合わず、苛立ちを抱えるばかり。夫となった伊岐の骨の無さにも呆れ、ことあるごとにお仕置きをしている。情に厚く、花嫁仲間たちがピンチになると颯爽と現れる
伊岐 演:昌隆
新川の五少主。自分の無能さは理解しており、出世欲もなくただ楽しく暮らしたいと願っている。
女性らしく優しげな郝葭をめとりたかったのに、花嫁に決まったのは正反対の男気あふれる上官婧だったため絶望する。それでも妻のことは大切にしようとする優しい男
薫海棠 演:劉萌萌
三少主・伊岸の妻。蒼川出身。お調子者で自分勝手な伊岸には心底うんざりしているが、上手に操って善き妻を演じている。
夫が強引に連れてくる娘たちとは協力関係にあり、妹のように面倒を見ている
伊岸 演:劉冠麟
新川の三少主。自分のことを絶世の美男子だと思い込んでいる勘違い男。可哀そうな娘を見かけると強引に連れてきて側室にする習性があるが、当の娘たちには嫌われていることに気づいていない。一方で商才はあり、新川主の信頼は厚い
郝葭 演:陳小紜
李微の友人で、胭川からの花嫁候補。美しくたおやかだが、したたかさも持ち合わせる。
結婚に愛は求めず、経済的安定を得るために将来有望な夫を狙っていた。望みどおりに二少主・伊嵩の側室となるが、その結婚生活は思いもよらぬものとなってしまう
伊嵩 演:張暁晨
新川の二少主で、正室の息子のため跡継ぎに最も近い立場。力を維持するためには手段を選ばない。頭角を現してきた伊峥を警戒する。
思い通りにならないと激高するが、機嫌のよい時だけ優しいモラハラ男
趙芳如 演:陳紫函
伊嵩の正室。側室として嫁いできた郝葭に辛くあたる
阮思思 演:湯夢佳
瑩川の郡主(王女)で、花嫁候補。内気でおっとりしており、争いとは無縁の性格。七少主・伊岩の正室となる。
かなり裕福らしく、花嫁仲間が困ったときに大金で助けてくれる
伊岩 演:馬昊
新川の七少主。内気で引っ込み思案。勢力争いからも一歩引いて平穏な毎日を願っている。
花嫁の阮思思とは相性ぴったりの仲良し夫婦
尹峻 演:姫暁飛
新川の四少主。嫡長主・伊嵩に従っているが、あまり心の内を見せない。
母の立場が低いことから冷遇されがちな立場にある
蘇慎 演:魏子昕
伊峥の側近。伊峥には恩があり、暑苦しいほどの忠誠を誓っている
宋舞 演:劉美含
和夫人の養女。伊峥が大好きで、側室としてやってきた李微に子供っぽい嫌がらせを繰り返す
新川主 演:高曙光
新川の王。跡継ぎは最も優秀な者にしたいと、息子たちの才を見極めようとする
川夫人 演:張瑞珈
新川主の正室。二少主・伊嵩と十少主の生母
和夫人 演:趙柯
新川主の側室。六少主・伊峥と十一少主の生母。
育児ノイローゼから伊峥を手元に育てなかったため、実の親子だが距離のある関係
劉宝泉 演:姚一奇
六少主の料理番。李微と仲が良く、持ちつ持たれつの関係
上官妍 演:孫爽
丹川主で上官婧の姉。妹のためなら新川に盾つくことも厭わない毅然とした川主
白露 演:王伊瑶
三少主の24節気娘の中でも長女的な中心人物。三少主のことは心底嫌い
感想
軽いノリで観られるラブコメであり、女性賛歌。
男性が見ても面白いのかは謎……基本的に女性向けの話だと思う。
ヒロインは、強国である新川の皇子の花嫁候補として差し出された、ある意味人質というか生贄のような感じの女の子。花嫁になりたくないがゆえに、わざと印象を悪くしようと画策したのに、なぜか全く力のない皇子の側室に選ばれてしまうところから始まる。
花嫁候補同士の熾烈な競争が繰り広げられるのかと思いきや、この作品の女性キャラはほとんどが仲良しで協力関係にあるのが珍しい。しつこく嫌がらせしてくるライバルキャラが不在。
花嫁とはいっても明確な上下関係のある政略結婚だから、理不尽なこともたくさんあるけれど、女同士で手を取り助け合ってゆく。
旦那様たち(皇子たち)は良い人もいれば奇天烈な人もいるし悪役のような人もいるけれど、一人を除いてそこまで悪辣ではなく、全体的に見れば平和な部類なドラマだと思う。
政治の材料として差し出された女たちが、自分たちの地位向上を目指して明るく頑張るジェンダーメッセージもあるのが、最近の古装ドラマの流行りなのかな?
ひたすら不遇な女主が、虐げられる中で男主に見初められ、溺愛されてのし上がっていく……というお決まりのパターンはもうウケないのかも。時代は変わっていくからねえ。
恋心は玉の如きも似たような話だったけど、あちらは結局旦那様の度量に全て寄っていた感じがしたのに対して、こちらはちゃんと女性の力で踏み出している感がある。
とはいっても、寛容な旦那様のサポートはやはり必要なんだけど。
元気な女の子たちが力を合わせて自分たちの生き方を切り開き、自分たちの価値を肯定する女性賛歌とも言うべき内容。
とはいえうまくいきすぎて現実味がなく、物語にもさほど深みはないが、ラブコメとして明るくまとめてくれておりとても見やすいし笑える部分も多い。
さまざまな夫婦の形から、さまざまな形の幸せを肯定する作品でもある。
ラブコメでありながら恋愛部分が意外と印象強くないけど(ちゃんと愛してくれて、ヒロインの気持ちに寄り添ってくれる素敵な旦那様ではある)、個性的な旦那衆の中でヒロインの旦那様が知恵によりのし上がっていく成功譚でもあるので、痛快劇としても楽しめる。
それほど重くならず全体的に軽やかで面白かった。
そんなわけないやろ、というご都合展開も、それほどモヤつかずにすっきり見られた不思議。悪役が少なくて優しい世界だったな。
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