あらすじ
茶坊を営む趙盼児は、良家の娘として生まれながら親の罪により賤民に落とされ、その後良民に昇格した経歴があった。親友の孫三娘、妹分の宋引章と手を取り合って生きていたが、婚約者の裏切りを知り都へ向かう。
偶然から旅の道連れとなった顧千帆とはなぜか幾度も助け合うこととなり、信頼できる間柄となってゆく。しかし二人が出会うきっかけとなった一枚の絵は、国をゆるがす政争の要となってしまう。
女であること、賤民であることから多くの理不尽に襲われても、幸せをつかむために顔をあげて生きようとする女たちの物語。
登場人物
趙盼児(チャオ・パンアー) 演:刘亦菲(リウ・イーフェイ)
官吏の娘だが、父親の失脚により芸妓となった過去を持つ。美しさ、賢さと茶の腕前から茶房を繁盛させている有能な女性だが、気の強さや過信から危機を招くときも
顧千帆(グー・チェンファン) 演:陈晓(チェン・シャオ)
皇城司という特務機関で指揮を務める男性。武芸に優れ頭も切れ、生き閻魔と畏怖される存在。実は権勢を誇る簫钦言の息子だが、死んだ母をめぐり恨んでおり、親子関係は公にしていない。ひそかに斉牧のために働く
孫三娘(スン・サンニャン) 演:柳岩(リウ・イエン)
盼児の親友。盼児の茶房を手伝っている。料理上手で評判。かつては肉職人までして生計を助けていたのに、夫と息子に手ひどい裏切りを受け、盼児と共に都へ向かう
宋引章(ソン・インジャン) 演:林允(リン・ユン)
盼児の妹分。楽妓であり琵琶の名手だが、賤民であることがコンプレックス。素直で影響されやすいため、人に騙されやすい幼い部分も
陳廉(チェン・リャン) 演:管云鹏(グァン・ユンペン)
顧千帆の有能さ、将来有望さを見込み押しかけ部下となる。葛招娣とは喧嘩ばかりだが、次第に気になる存在へ
葛招娣(グー・ジャオディ) 演:李沐宸(リー・ムーチェン)
趙盼児の店で騒動を起こした貧しい娘。気遣ってくれた趙盼児に恩を感じ、店で働くようになる。金をせびってくる母に悩まされている
欧陽旭(オウヤン・シュ) 演:徐海乔(シュー・ハイチャオ)
趙盼児の婚約者だったが、科挙に受かった途端、高官の娘との結婚を決めてしまう。出世欲と気の弱さから、次第に罪を重ねてゆく
斉牧(チー・ムー) 演:姚安濂(ヤオ・アンリェン)
反皇后派である清流派の長。顧千帆を裏から操る
簫钦言(シャオ・チンイェン) 演:王洛勇(ワン・ルオヨン)
顧千帆の実父。一見人当たりが良いが、巧みに人を操る老獪な政治家。千帆以外の息子が凡才なことから、千帆を味方に引き入れようと手を尽くしているが、その実利用してもいる、腹の底の読めない人物
簫谓(シャオ・ウェイ) 演:李圣佳(リー・シェンジア)
顧千帆の異母弟。簫家の跡継ぎだが、父が顧千帆ばかり気に掛けることを不満に思っている
杜長風(ドゥ・チャンフォン) 演:张晓谦(チャン・シャオチェン )
欧陽旭の友。ド近眼で眼鏡がないとろくに物が見えない。科挙に受かっていながら、学堂の教師に甘んじており、子供たちにも馬鹿にされる有様。きっぷの良い三娘にだんだん惹かれてゆく
池蟠(チー・パン) 演:代旭(ダイ・シュー)
東京十二商業組合の会頭で、张好好とは恋仲。金しか取り柄のないボンクラお坊ちゃまで、盼児とは犬猿の仲
張好好(ジャン・ハオハオ) 演:加奈(ジア・ナイ)
東京一の名妓と称され、歌声は称賛の的。池蟠とは恋仲
何四(フー・スー) 演:胡宇轩(フー・ユーシェン)
池蟠の手下
沈如琢(シェン・ルージュオ) 演:孙祖君(スン・ズージュン)
宋引章を見初め、猛アプローチをかける御曹司
周舍(ジョウ・シュ):張翔(ジャン・シャン)
富豪のふりをして引章を口説き落とすが、実は賭博で首が回らない詐欺師
雷敬(レイ・ジン) 演:杜玉明(ドゥ・ユーミン)
皇城司司公
高鹄(ガオ・フー) 演:尹铸胜(イン・ジュウシェン)
観察。娘を有望な若者に嫁がせようとするが、娘の気持ちよりも政治的な損得を重視する
高慧(ガオ・フェイ) 演:嘉泽(ジア・ズー)
高鹄の娘で、欧陽旭の婚約者。欧陽旭を強く慕っていたが、盼児の存在を知りショックを受ける。素直で裏表のない性格
皇帝 演:保剑锋(バオ・ジャンフェン)
皇后を大事に想っており、反皇后派から守ろうと苦心する
皇后/劉婉 演:刘珂君(リウ・クジュン)
元妓女であった過去をひた隠しにしている。野心があり敵対する者を排除する
袁屯田(ユエン・トゥンティエン) 演:刘亚津(リウ・ヤジン)
茶房の常連客の文士
ネタバレなし感想
女主も男主もある程度成熟した大人同士なので、落ち着いた雰囲気の話だった。幼稚な口論とかは無縁なのでありがたいけど、話の進みもゆったりしていて、中盤は割と中だるみかも。
続きが気になって止まらない類の話じゃないけど、それほど無理なくまとまっているので見やすい部類だと思う。
時代劇で女性の自立を扱うの、流行ってるのかなあ。最近の古装劇は特にそういう傾向が強いと感じる。
けど矛盾を感じるのが、時代劇って基本的に今より男尊女卑が強い世界観だから、結局男主の力を借りる前提で話が進むところ。今作でも盼児が酒楼を開くとき、当然のように顧千帆の金をあてにしていたのでモヤモヤした。まだ正式に結婚してない男から金せびるんかい。
それと、顧千帆→盼児の気持ちの深さはよく伝わったけど、盼児→顧千帆の愛の深さが読み取りづらかったのも残念なポイント。顧千帆を褒める時、いつも位が高くて眉目秀麗なことばっかり褒めるんだよな……条件重視の女みたいに思えてモヤモヤする。誠実なところとか、度量の広さとか、もっと人柄で褒めるべきところはあったはず。
という感じで、盼児のことは今一つ好きにも嫌いにもなれなかった。それがのめりこめなかった理由かも。顧千帆はいい男だったけどね。
ただ、女性たちが何度も間違えたり回り道をしたりしながら、幸せを探す過程が丁寧に描かれているのは良かった。男性の敵役は多く出てくるけど、女性はほとんどが協力関係にあるのも特徴的。
このシスターフッドといい、商売で身をたてようとすることといい、卿卿日常と少し似た部分もあるかも。
政争、女性の自立、絶対的ピンチからの大逆転と定番の展開を網羅していて、物語としてはどこか既視感はあったものの、落ち着きある大人の恋は安定して見れたし視聴後感も悪くない作品。
ネタバレ感想
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あまりにも男運の悪い三人組だったな、振り返ってみると……
でも周りの善人・悪人率を鑑みると、そもそもいい男を捕まえられる可能性があんま高くないのかも、とも思った。最終的には全員玉の輿に乗りそうだから、男運良い方なのかも。
「良い人」なんてやってられない世の中なのかもしれないし、生き抜くために変わらざるを得ない人もいるんだろうし。
欧陽旭の闇堕ちぶりはすごかったけど、彼は心が弱いだけで特別悪人というわけではなかったのだと思う。どちらにも転んでしまう可能性があったというだけ。
招娣だって、みじめなゴロつきになる未来は普通にあり得たし、池蟠だっておバカキャラが良い方に転がるときも、悪い方に転がるときもあった。
幸運をつかむには努力と運が必要で、この話の結末が良い方向に向かったのだって運が良かっただけなのかも。
この手の古装劇って、最終的にそういう結論に至ってしまうところ、あるなあ。
結局女の運命は、いかに良い夫を持てるかで決まってしまうし。
作中で描かれたカップルで一番好きだったのは招娣と陳廉かも。まだちょっと双方子供っぽい部分もあるけど、まっすぐで可愛い。陳廉、有能だし家柄も良さそうだし、もし結婚できたら玉の輿だよなあ。できるのか謎だけど。
引章は淡い初恋が実らなくて、しょうもない男に二連続でつかまる体たらくだったけど、引章が悪いばかりではないと思う。
沈如琢が本気かどうかなんて、分からんでしょあれは。本気で愛されてるって勘違いしちゃうでしょ。
身分の高い男に見初められるチャンス自体は多いだけに、これからも結構恋愛では苦労しそう。
でも根は素直な子だからいい男とくっついてほしい。
途中で傲慢になって腹立った部分もあるけど、素直な女の子は好きなんだ私は……したたかな盼児よりも可愛いと思ってしまう。
盼児は引章にだけ隠し事が多かったから、そこも可哀そうに思えてしまった。一人だけ仲間外れにするの、女子あるあるだけど禍根を残すんだよな。相手のために……と言いつつ自分のためだったと思うし。
最後のシーンって、池蟠の次のお相手が引章になるってこと?
やめてくれよぉーー引章はもっとうまく転がしてくれる包容力ある男がいいよ。
盼児は好きになりそうでならなかった(賢いキャラ自体は好き)けど、千帆はずっと頼もしくて良かったな。ラブいシーン意外と甘かったし。
厳しい境遇で心を制御することにも慣れてる男が、愛する人の前で甘えたり甘えられたりできるのっていい。
この二人は、行動力・精神力の強さからその気になればどんな障害も乗り越えて一緒になるってわかってたから、身分の差があろうが外部からの妨害があろうが、あまり心配しなかった。というかあまりにも想像の範囲外のことが起きなかったから、物足りなかったまである。
ただ安心して見られる(主役の性格が悪くなくて、派手な喧嘩をしたりというイベントもない)ドラマなので、もし気になってる人がいれば勧めるくらいの良作だと思う。
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