あらすじ
皓翎国王と西炎国王女の間に生まれた小夭は、幼少時に戦乱で母を亡くし、その後長い間行方不明となっていた。長く孤独な苦難の時を乗り越え、男の姿になり玟小六として町医者として暮らしていたが、幼馴染で従兄の西炎瑲玹との再会から運命はまためぐり始める。
瀕死のところを救った葉十七、亡国の残党軍の軍師を務める相柳との出会いを経て、複雑に絡む縁の中で小夭が最後に選び取るのは誰の手か。
登場人物
小夭/玟小六 演:楊紫(ヤン・ズー)
並び立つ二つの国、皓翎国と西炎国両方の王族の血を継ぐ高貴な生まれだが、戦乱時に出征した母を亡くす。その後不幸な成り行きで行方不明となり、辛い時を過ごしたためどこか冷めており、肝が据わっている。訳あって男の姿となり、町医者として暮らしている。
西炎瑲玹 演:張晚意(チャン・ワンイー)
西炎国の王孫で小夭の従兄。戦乱で両親を亡くす。共に育った小夭のことを一生守ると心に決めていたが、皓翎国の捕虜となり、生き別れてしまう。頭脳明晰で冷静沈着だが、小夭のことは全身全霊で溺愛する。
葉十七/塗山璟 演:鄧為(ドン・ウェイ)
玟小六が命を救った謎の青年。実は九尾狐の血を引く名家の嫡男だが、一族間に様々な問題を抱える。無私の心で小夭だけを一途に愛する。温厚篤実で才知に溢れ、有力氏族や王族並みに人望のある若君。
相柳/防風邶 演:檀健次(タン・ジェンツー)
滅ぼされた辰栄国の残党軍を率いる軍師。九つの頭を持つ蛇の一族で、冷酷無比と恐れられる。偶然出会った小夭のことを利用するが、内なる孤独を分け合い次第に惹かれてゆく。
赤水豊隆 演:王弘毅(ワン・ホンイー)
西炎国の有力な赤水氏族の当主で、辰栄馨悦の双子の兄。
瑲玹の才覚を見込み臣下として支える。明朗快活な性格で、小夭を一目で気に入る。
阿念 演:代露娃(ダイ・ルーワー)
皓翎国の王女(小夭の異母姉妹)。甘やかされて育った我がまま娘。瑲玹のことが大好き。
辰栄馨悦 演:王禛(ワン・ジェン)
亡き辰栄国の王女で、長く捕虜として暮らした過去がある。赤水豊隆の双子の妹。立場に気を使ってきた経歴から、権力や名声を重視する。瑲玹のことが好き。
防風意映 演:黄灿灿(ホァン・ツァンツァン)
家同士で決められた塗山璟の婚約者で弓の名手。面識はないが、塗山璟が行方不明になった間も塗山家を支えており、大奥様に気に入られている。一途で聞き分けの良い令嬢を装っているが、裏の顔がある。
涂山篌 演:葉篠瑋(イェ・シャオウェイ)
塗山璟の兄。庶出のため継承権がなく、権力・才覚・人望を持ち合わせた弟を憎んでいる。
皓翎国王 演:鄭国霖(ジョン・グォリン)
小夭と阿念の父。捕虜として来た瑲玹のことも弟子として大切に育てる。名君として知られ、家族のことも大切にする理想的な国王。
西炎国王 演:侯長栄(ホウ・チャンロン)
小夭と瑲玹の祖父。戦乱を生き抜くために、時には苛烈な決断もいとわない強国の名君。
老木 演:陳創
玟小六が家族のように暮らす老人。血のつながらない二人の男と玟小六を息子のように可愛がる。
ネタバレなし感想
非常に……評価の難しい作品。面白く、見ごたえはあり、ままならない人間関係や運命のいたずらに涙したこともあったが……主人公がどうにも好きになれず、終わり方がビターだったので、いい話だと一言に言うことができない。
ヤン・ズーは元々苦手な女優さんだけど、心配していたほどの嫌悪感はなく、完走はできた。(お顔立ちは好みではないしずっと役柄との違和感があったが、演技力はあると思う)
でも、どうにも役柄がなあ……。
致命的に馬鹿なわけではなく、強さ優しさも持ち合わせてはいるんだけど、それにしても自己中すぎないか、と思う場面が多かった。あんなに人の気持ちに無関心でいられるものなのか。
苦しい場面で命をかけた母のことを、自分を捨てたと責める気持ちが最後まで分からなかったし、周りの男たちが命をかけて自分を愛し守ることを当たり前のように受け止めているのが理解できない。
なぜ男たちがここまで惚れて惚れて惚れぬいて自己犠牲を払うのかも分からない。
確かに他の女と違うところはあるだろう。でも、その献身がふさわしい女なのか? 本当に?
中国では、身内からの親切には礼を言わない(水臭いと感じる)文化だから、そういう感覚の違いかもしれないけど、それにしたって……。
途中から阿念の成長が目覚ましかったので、阿念の方が好きになってしまった。
男たちはだいたい魅力的だったし、誰が主人公でも良いと思えるだけの背景があった。意図的にそういう描き方をしているんだろうけど、だからこそ一人しか選ばれないと分かりつつ見るのがしんどかった。
不運の連続、求めるほど手をすりぬける願い、思い通りに少しもならない愛の行く末。幸せになるのはどうしてこんなに難しいのだろう。そんな人生のままならなさと数奇な運命を描く物語。
面白くはあったけど、二回目はないな、と思う。
作品としての出来は違うけど、太陽を抱く月の完走後と似た虚無感に包まれる。
ネタバレあり感想
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個人的には主人公は小夭ではなくて瑲玹。
幼い頃の誓いのために努力し、もがき、苦しみながら望みを叶えるも、本当に求めていたものだけは手からこぼれてゆく。塗山璟は従順でひたむきな理想の恋人だけど、瑲玹にだって幸せになって欲しかった。もっと彼の苦しみと深い愛を知ってほしかった。
塗山璟が後半は存在感薄めで、瑲玹の葛藤に焦点が置かれていたから一層辛かった。小夭があまり好きになれなかったこともあり、あの結末はハッピーエンドとはとても思えない。
瑲玹は今後もあまり幸せになれそうにないけど、でも他の誰にも成しえないことを果たしたし、すぐそばにいられなくても幼い頃の約束は立派に守ったのだと言える。
本当に頑張ったよ。小夭はもっと感謝しろよ。
相柳もまた魅力的なキャラではあるけど、親しくなる経緯やいまいち一貫性のない言動など腑に落ちない部分があるのと、都合の良い時にしか現れないので都合の良い駒感が否めず、何だか不憫でならなかった。小夭爆モテ伝説お腹いっぱいだよ。塗山璟と瑲玹だけで良かったかも。
他のキャラがいなければメインキャラになれそうな美味しい設定なのにな。見た目も美しいし、一番命救ってるのに、黙って美しく散ってゆくお涙頂戴係になってしまって……惜しいな。
九つの頭があるからといって、命は一つだろ(心が一つなんだし)と思ったけど、まあ突っ込まないことにしとくか。
あと、防風邶の時に性格が変わるのはなんか納得できてない。
小夭のことは、後半になればなるほど嫌いになった。
自分を守ることばかりで、自分によくしてくれる人のことや、命を散らした母のことまで責めたりして。自分から信じ、動けば塗山璟を失わなかったはずだと終盤に気づいたのはまだ良かったけど、その後成長するかというと別にしなかったし。
あんなに自分を大切に守ってくれる瑲玹や相柳の気持ちに鈍感すぎることをはじめ、他人の気持ちや立場を思いやることができないんだなと失望することが何度もあった。
性格悪いとは思わないけど、これだけの男たちに想われるほどの魅力を感じない。
阿念はどんどん成長するのに、なんで主人公は成長しないんだよ。
どうして自分だけを一番に見てくれる相手を求めるばかりで、自分から与えないんだよ。どうして相手の苦しみや葛藤を分かってやらないんだよ。
確かに小夭が助けることもあるけれど、受け取ったものの方がはるかに多かったように思えてならない。
もっと小夭が賢いか優しいかしたら、もっと好きになれたかもしれないのにな。
この手の話にしては、周りの人間に良い人が多かったので、胸糞シーンはそこまで多くなかった。特に国王ズは両方すごくいい人だったな。小夭パパは特にとんでもなく良い人だった。良い人ほど幸せになれないシステムかもしれない(やさぐれてゆく一視聴者)。


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